鼻腔共鳴とは?効果・やり方・練習方法について解説!
皆さんは高音の曲を歌う時、どのように声を出していますか?
地声で気持ちよく歌いたいのに、張り切れば張り切るほど声が出なくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
それは、自分の声を上手く響かせる方法が身についていないことが原因となっていると考えられます。
そこで今回は、理想の高音を無理なく出せるようになる方法として、鼻腔共鳴という発声法をご紹介していきます!
鼻腔共鳴を習得するメリットややり方、コツについて解説していきますので、上手く歌えなくて悩んでいるという方はぜひ参考にしてみてください。
鼻腔共鳴とは?

鼻腔共鳴という言葉を聞いても、いまいちピンと来ないという方も多いでしょう。
以下では、鼻腔共鳴について、混同しやすい鼻声との違いを交えながら説明していきます。
鼻腔共鳴と鼻声の違いとは?
鼻腔共鳴とは、鼻の奥の空間を用いて音を響かせることで幅広い音域の声を出す発声法です。
一方、鼻声は単純に多くの息が鼻から出ている状態での発声で、鼻の奥の空間に十分に声を響かせているとは言えません。
風邪を引いた時のように、鼻声は鼻が詰まってこもった状態の声であるのに対して、鼻腔共鳴は鼻がスーッと空気が通っていて綺麗な抜けの良い声であるという特徴があります。
鼻腔共鳴と鼻声では、空気の入り方や鼻のつまり具合などが異なり、発声の響きにも大きな違いがあるということを覚えておきましょう。
鼻腔共鳴を取り入れる効果・メリットは?

鼻腔共鳴を取り入れることで、歌うときに様々なメリットが得られます。
- ・音域が広くなる
- ・ミックスボイスが安定しやすくなる
- ・鼻通りが良くなる
これらの効果・メリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット①音域が広くなる
鼻腔共鳴を習得することでより声を響かせて歌えるようになるため、高音が出しやすくなります。
カラオケでエコーをかけたり、お風呂で歌ったりする時に気持ちよく歌えるのは、声に響きが生まれるからです。
声に響きを持たせられると、高音を出してもラクに伸びやかに歌えるなどの効果が期待できます。
鼻腔共鳴は声を顔の中央から頭頂部にかけた部分で響かせているため、喉を締めつけずに聞き心地の良い高音を出しやすくなります。
また、低音を歌う時にも鼻腔共鳴を行うことで声に響きを持たやすくなるため、結果的にコントロールできる音域が広くなるのです。
メリット②ミックスボイスが安定しやすくなる
ミックスボイスとは、地声とファルセットの中間の性質を持った歌声のことです。
鼻腔共鳴を習得すると喉を緩めて開く技術が身につくため、高音を出そうとして喉を締めつけてしまうといった問題を防ぐことができます。
ファルセットを出すときにも鼻腔共鳴を活用して息を流すことができれば、声に響きを持たせることができ、ミックスボイスの習得に近づきます。
鼻腔共鳴を習得するだけで必ずしもミックスボイスがマスターできるというわけではないですが、鼻腔共鳴の習得は、ミックスボイスの上達において極めて重要なポイントと言えるでしょう。
メリット③鼻通りが良くなる
鼻腔共鳴は鼻の奥の空間、つまり空気の通り道を使って行うため、習得すると鼻腔が振動して血流が良くなり、鼻通りが良くなります。
鼻声は完全に鼻づまり状態で起こるため、その時に鼻腔を振動させると鼻づまりが緩和するかもしれません。
このように、鼻腔共鳴は歌声に関与するだけではなく、歌う際の身体の状態を整える効果もあります。
鼻腔共鳴のやり方・練習方法

実際に鼻腔共鳴を行う時のやり方や練習方法を3段階で説明していきます。
鼻腔共鳴を行う際は、鼻腔が振動しているのを感覚として掴むことが重要になります。
まずは鼻腔共鳴の感覚を体に覚えさせ、慣れてきたら歌を交えて練習していきましょう。
①ハミングで音階練習する
鼻腔共鳴を行う時は、鼻腔でどのように響いているかを体験するためにハミングで感覚を掴んでいくのがおすすめです。
まずは、曲を使わずにハミングで音階練習をしましょう。
口を閉じて「んー」と発音しながら「ド・レ・ミ・・・」の音を出していきます。
この時、声を鼻に抜いて喉をリラックスさせた状態で行うことを心がけましょう。
難しい方は、最初の段階では軽く歯を噛み合わせた状態で『んー』と発音してみてください。(食いしばりすぎると逆に歌声に支障をきたすため加減に注意して行いましょう。)
この音階練習は音程を合わせることではなく鼻腔の振動を感じることが目的なので、音程をあまり気にする必要はありません。
②ハミングのままで歌う
ハミングでの音階練習で鼻腔を響かせる感覚が分かるようになってきたら、次は曲を使ってハミングのままで歌ってみます。
自分が練習したい好きな曲でかまいませんが、最初からあまり複雑な音程を持つ曲は避けるようにしましょう。
音階が不安定になってしまうと、ハミングが鼻歌になってしまう可能性があります。
最初は、スローテンポかつ自分の音域に合った曲で練習してみるのがおすすめです。
次第に慣れてきたら、難しい曲にチャレンジして実力を測り、モチベーションに繋げていきましょう。
③鼻腔共鳴を活かして発声練習する
ハミングの練習ができるようになり、鼻腔が振動していることを確認できたら、鼻腔共鳴を活かして発声練習をしていきましょう。
まずは、鼻腔の振動を確認しやすい「イ」「エ」「ア」で発声練習をしていきます。
ハミングの状態から徐々に「イ」の形に口を開いていき「イー」と発声します。
この時に、ハミングよりも振動が感じられなくても、少しでも確認できたらOKです。
「イ」の鼻腔共鳴が確認できるようになったら、さらに「エ」→「ア」の順に挑戦してみましょう。
口を開いた形になるほど難易度は上がりますが、何度も練習すれば確実に鼻腔共鳴の習得に繋がっていきます。
鼻腔共鳴のコツ
続いて、鼻腔共鳴を習得するための3つのコツを説明していきます。
ある程度鼻腔共鳴を伴った発声ができるようになってきたら、以下のコツを意識して、さらにキレイな響きを目指しましょう。
喉の余分な力を抜く
鼻腔共鳴は、鼻から息を吸い、空気を喉の方まで通すようなイメージで喉の余分な力を抜いて行いましょう。
喉の余分な力が抜けると、自然と喉が開き、声を響かせる土台ができます。
この状態で先ほどのハミングでの練習を試してみると、ラクに鼻腔に響いていることが分かります。
喉の余分な力が抜けているか確認しづらい時は、まずは寒い時に「ハァー」と手を温めるようなイメージで、喉の奥を開けて空間を広く保ってみましょう。
声帯を閉じる
喉が開いた状態で声帯は閉じるということに難しさを感じる方もいるかもしれませんが、喉と声帯は同じような位置にありながら全く違うものです。
声帯は、通常の呼吸時に開き、声を乗せることで閉じます。
一方喉は、声を生み出す場所ではなく、声帯から口まで共鳴を増幅する役割をしています。
したがって、くもり気のない芯のある声を出すためには、声帯を閉じて息が漏れないようにすることが大切となります。
声帯を閉じているつもりでも、喉に余分な力が入ってしまっていることがあるため、息の混じり具合を調節して、繰り返し声帯を意識的に開いたり閉じたりしてみましょう。
腹式呼吸を活用する
鼻腔共鳴を活かして歌う時に腹式呼吸を意識すると、喉に余分な力が入りにくくなるため声を響かせやすくなります。
腹式呼吸は、以下のような順序で行います。
①お腹を徐々に膨らませていきながら鼻から息を吸う(この時肩を上げないようにする)
②お腹を徐々に自然にへこんでいく状態で口から息を吐く
③①と②を繰り返し行う
腹式呼吸を行うことで喉に負担をかけない状態となるため、鼻腔共鳴を活用しながら歌唱しやすくなります。
鼻腔共鳴が上手い歌手

実際に、鼻腔共鳴を効果的に用いて歌っている有名歌手を男女別に紹介します。
以下で紹介される歌手の曲を聴いたり、歌声を思い出したりすることで、鼻腔共鳴が効果的に用いられた時の響きをイメージしましょう。
鼻腔共鳴が上手い女性歌手3選
鼻腔共鳴が上手い女性歌手には、パワフルな歌声や声量が魅力の方が多くいらっしゃいます。
ここでは、頻繁にテレビ主題歌やCMソングを担当されている方を3人ご紹介していきます。
①MISIA
MISIAさんは、東京オリンピックで「君が代」を歌唱したり、ディズニーシーで行われるショーのテーマソングに起用されたりなど、幅広く歌声が評価されているシンガーソングライターです。
低音から5オクターブ上の高音まで歌いこなすMISIAさんの歌声には透き通った響きがあります。
「アイノカタチ」は、Aメロの落ち着いた歌声からBメロ・サビへの盛り上がりが特徴的です。
この声色のグラデーションは、鼻腔共鳴で伸びやかに歌われるBメロで特徴的なので、ぜひ注目して聴いてみてください。
②絢香
絢香さんは、優しく包み込むような心地よい歌声を持つシンガーソングライターです。
喉が開いた深い低音と響きのある高音から、鼻腔共鳴を上手く活用していることが分かります。
絢香さんを象徴する一曲である「三日月」では鼻腔共鳴を用いた芯のある声と柔らかいファルセットで強弱をつけています。
特に落ちサビの高音は喉を開いて頭頂部から声を出しているような歌い方であり、鼻腔共鳴の技術がよく分かる部分です。
③越智志帆(Superfly)
Superflyの越智志帆さんは、その小柄な姿からは想像もできないほどパワフルに歌うシンガーソングライターです。
突き上げるような伸びの良い高音から、鼻腔共鳴を上手く活用していることがうかがえます。
結婚式ソングとして定番の「愛を込めて花束を」は、基本的にキーが高いため、鼻腔共鳴が有効に用いられているのが分かります。
特に、サビと落ちサビは音程が激しく上下するため歌声が不安定になりがちですが、鼻腔共鳴を上手く活用することで安定した歌声を保っています。
鼻腔共鳴が上手い男性歌手3選
鼻腔共鳴が上手い男性歌手には、ハイトーンや独自の雰囲気を感じさせる歌声を持った方が多く見られます。
今回は、ロックバンドからソウルまで、ジャンルの違う3人をご紹介していきます。
①Taka(ONE OK ROCK)
現在、国内外多くのファンを持つONE OK ROCKのボーカルを務めるTakaさんは、エッジボイスや力強いハイトーンボイスが特徴的なアーティストです。
サビなど、高音のミックスボイスを出す部分で鼻腔共鳴が効果的に用いられていることが多いです。
「Wherever you are」は、英語が多く使われており、鼻腔共鳴を活かした部分が聞き取りにくいかもしれません。
しかし、「n」から始まる単語に注目して聞いてみると、普段のエッジボイスがクリアに聞こえ、鼻腔共鳴を用いた部分が分かりやすくなります。
英語が含まれている邦楽で鼻腔共鳴を活用したい方は参考にしてみてください。
②Toshi(X Japan)
X Japanは、80年代に結成されたビジュアル系ロックバンドです、ボーカルを務めるToshiさんは、響きの良いハイトーンボイスの持ち主として有名です。
まるでクラシックかのようなピアノ伴奏から始まる伝説曲「紅」は、終始女性でも歌うのが難しいほどの高音が続きますが、シャウトの中にも綺麗な響きのある歌声が聞こえてきます。
サビは声を響かせやすいロングトーンがないにも関わらず、一つ一つのアタック感の強い高音でしっかり鼻腔共鳴が活用されているため、喉を枯らさずに歌い上げられています。
③久保田利伸
シンガーソングライターの久保田利伸さんは、柔らかい歌声を持ちながらも自由を感じられるような響きのある歌い方が特徴です。
多くの人々の耳に残る海外アーティストのような歌声には、鼻腔共鳴が活用されています。
誰もが一度は聞いたことがあるであろう名曲「LA・LA・LA LOVESONG」では、「を」や「オ」の母音で終わる言葉に鼻腔共鳴が用いられています。
高音の中に声の太さが感じられるその歌声は、注意して聴いてみると絶妙なバランスでコントロールされた歌声となっていることが分かるでしょう。
鼻腔共鳴を習得したいならボイストレーニングがおすすめ

鼻腔共鳴を効果的に用いるには、腹式呼吸を活用したり喉の余分な力を抜くなど歌うための準備がしっかりできていることが重要です。
鼻腔共鳴の習得には喉の使い方や声の出し方を理解する必要がありますが、基本的な部分を独学や感覚で行っても自分に合った方法でなければ、思ったような効果が見込めません。
そこでおすすめなのが、ボイストレーニングでプロからのレッスンを受けることです!
ボイストレーニングに通えば基礎からしっかりと発声法を学ぶことができるため、効率的かつ効果的に歌声を伸ばしていくことができます。
シアーミュージックでは無料の体験レッスンを開講しているため、正しい歌い方や発声法を身に付けたいという方は、まずはお気軽に無料体験レッスンにお越しください!
鼻腔共鳴とは?まとめ
今回は、鼻腔共鳴がどのような発声法であるのか、またその練習方法やコツを紹介しました。
鼻腔共鳴は、歌う時に喉の負担を軽くするなどの様々な効果がありますが、意識しすぎると本来の自分の歌い方を忘れてしまったり、鼻以外に意識が行かず余分な力が入ったバランスの悪い歌い方になってしまいます。
いつもの歌声に隠し味を持たせるくらいの軽いイメージで捉え、リラックスした状態で楽しく歌いましょう。
発声法や歌の基礎についてもっと知りたいという方や、一人だと上達できているか不安という方は、ぜひシアーミュージックのボイストレーニングをお試しください!